2015年総選挙「ハゲてたんですよ」

2014年6月7日。

「正直言うと、とっても悔しいです!」
「また一年間頑張っていきたいとと思いますので、明日からまた選挙活動をみなさん頑張ってほしいと思います。」

 

もう悔しい思いをするのはたくさんだ。そのときから2015年選抜総選挙は始まった。

立候補

2015年、この年から戦略が変わった。

今まで必ず一番に立候補する戦略をとっていたが、仕事の都合もあって、初めて一番手ではなかった。

そのことが3月25日のアメブロ に綴られている。

 

「 今日から総選挙の立候補受付が始まりますねー(>_<)!!!
おととしと去年、毎年一番乗りをするためにろんな努力をしていたわけなんですが、
今年は残念なことに、お仕事で移動中なのでどうにもこうにも立候補届けを出せそうにないんです(*_*)
えーーーん(T_T)
楽しみにしてくれていた方
ごめんなさい(>_<) 」

総選挙前日の「干されのカリスマ」

 

「『干されのカリスマ』
この言葉を生み出してくれたメディアさんには感謝しています
今は自分から『干されのカリスマ』って言うのは抵抗ある
ありがたいことに今は干されてないもん
過去に関しては自ら干されてましたっていうのもなんだか変な感じが(笑)
実力あったわけじゃないからさ(笑)
今まででは考えられないようなチャンスを沢山いただいてるって思ってます
他のメンバーよりたくさんチャンスをもらってます
週休7日ぶろぐを書くだけの時期が嘘みたい
こうやって言ってもらえるレベルまできたことが奇跡だよね
Google+以前のわたしの状況知ってる方は本当にここまで来れるなんて思ってなかったとおもう
わたしが挫折せずに諦めちゃいけないっていう気持ちにさせてくれたファンのみなさんが居てくれたからこうやって更新できてます
あー緊張して寝れない(笑) 」

 

AKB48選抜へ

6月6日、AKB48 41stシングル選抜総選挙当日。

 

「AKB48選抜総選挙第13位は、53667票の最終獲得票数であります。SKE48、チームKⅡ、松村香織!」

 

SKE48メンバーのランクインとともに「コケティッシュ渋滞中」が流れる。
木佐彩子アナウンサーが松村香織の紹介文を読み上げる。

 

「ご意見無用の聖域なきアイドルが、今年とうとう選抜入ってしまいました。

常にビデオカメラを持ち歩き、撮影した映像を自ら配信し続ける、動画配信どぶ板選挙。

ときには運営側の意向を無視しても言いたいことを言い放つ要注意人物です。

SKE最年長25歳。干されのカリスマが民意を背負って快挙を達成です。

おめでとうございます。」

 

ステージに向かう松村香織はフラフラだった。しかし、これには理由があった。

総選挙コメダ

2015年総選挙はSKEの年だった。

ランクイン27名(兼任含む)となり第一党となった。
多くのメンバーがランクインしていく様子は1コメダで見られる。

 

アップカミングガールズ7名、フューチャーガールズ7名、ネクストガールズ3名、続々とステージへ向かう。

アンダーガールズの発表に入り緊張感が増した。SKE48という言葉に敏感になる。

大場美奈さん

古畑奈和さん

谷真理佳さん

大矢真那さん(卒業生)

がランクイン。

そして、

 

「18位、43665票」

 

ここでいきなり8000票増え4万票を超えた。
観客がざわつく。会場はその意味を正確に捉えていた。

 

「SKE48」

 

動画の撮影者が固まるのが伝わる。

 

「チームE、須田亜香里」

 

何が起きたのか一瞬わからなかった。

 

須田亜香里さんは昨年10位からのランクダウン。

 

松村香織が振り返るとともに須田亜香里さんを捉えて動画はここで終わる。

 

 

ここまで順調だったSKE。
しかし、そのとき総選挙の厳しさを突きつけられた。

松村香織の選抜入りが決定した瞬間でもあったが、その気持ちは複雑であった。

 

松村香織は、1年後の2016年6月22日、この総選挙コメダの続きをTwitterとぐぐたすで動画を公開した。そのときの衝撃がいかに大きかったか。松村香織は過呼吸になり、か細く聞こえてくる悲痛な言葉がつらい。

 

某クリニックの高須先生

いつもの徳光和夫氏の司会。

「いよいよ選抜16名の発表です。」

「それでは発表いたします。AKB48第7回選抜総選挙第16位を発表させていただきます。第16位、最終獲得票数44637票、AKB48、チームK、武藤十夢」

呼ばれなかった。

 

「続きましては、第15位の発表でございます。それでは発表させていただきます。第15位は、最終獲得票数49199票、SKE48、チームE、柴田阿弥」

まだ呼ばれない。

 

「第14位を発表させていただきます。AKB48選抜総選挙今年度の第14位は、5万票を超えました。52609票、SKE48、チームKⅡ、高柳明音」

 

まだ行くのか!

 

「AKB48選抜総選挙第13位は、53667票の最終獲得票数であります。SKE48、チームKⅡ、松村香織」

 

このときの気持ちはDVDのメイキングで語っている。

「去年17位で呼ばれたときの、もう一回あるんじゃないかなと思って、17位で名前呼ばれなくて、え?って信じられなくて16位でも呼ばれなくて15位でも呼ばれなくて14位でも呼ばれなくて圏外なのかなと思うくらいびっくりした。
13位で名前を呼んでもらえて、もう、なんですかね。
この順位に等しい努力は絶対1年間してないと思うのでこの順位が期待だと思ってまた1年間精一杯私らしく頑張りたいと思います。」

 

そして、彼女はメンバーの声援とともにフラフラと立ち上がってステージに向かっていくのである。

ステージ中央に着くと、徳光和夫氏が促す。

 

「さあ、それでは終身名誉研究生から最近正規メンバーに昇格いたしました香織さんからの喜びのメッセージ。どうぞ」

 

SKE48のかおたんこと松村香織でーす。松村がAKB選抜に入っちゃいましたあ~。
ほんとに信じられない気持ちでいっぱいなんですけども、そうですね。あの。
私は今年ほんとにいっぱいうれしいことがありまして、さっき徳光さんが言ってくれたみたいに、今年の3月に終身名誉研究生という昇格できないっていう肩書から、何でか知らずか昇格してしまって、このチームKⅡに昇格できることができました。あ、そんなに、ぜんぜん。すいません。」

 

祝福の拍手が起きる。しかし、松村香織のスピーチは普通には終わらなかった。

 

「なんかトイレに行く人が多いんですけど。あの、ちょっと、チャンネルも変えないでください。」

 

会場の雰囲気は急に和んでいく。

 

「はい。そうですね。あとはですね。
私、今日までに間に合わせたことがありまして、あのですね、私ずっとハゲてたんですよ
去年とかも粉を振りながら選挙出てたんですけども、今年は、治療が終わりましてですね、はい、無事に治ったんですけど、ちょっと帽子だから見せられないんですが、いや本当に髪が生えてよかったなという、ことなんですが、ここで病院名とかそういうのは言ったら怒られるんですけど

 

「某クリニックの高須先生本当にありがとうございます。」

 

総選挙の重い雰囲気をガラリと変える笑いのある松村香織らしいスピーチであった。
ちなみにこの部分はDVDでばっさりと編集されている。

 

初スキャダル

選挙が終わって2週間たった6月23日。
それは「おじゃMAP!!」で香取慎吾さんと共演できるという念願の番組収録の日だった。

23日発売の「フラッシュ」(光文社)の袋とじでSKE48加入前の2008年に松村香織がキャバクラで働いていたことが報じられた。

記事のタイトルは次のようなものだった。

” 一月で40万円稼ぐ「かりんちゃん」に会いたかった―AKB48選抜総選挙13位松村香織はコスプレ大好き「神対応キャバ嬢」でした! “

 

元同僚が明かす内容は次のようなものだった。

” 松村さんとは、08年に新宿・歌舞伎町のキャバクラ『G』で一緒でした。
彼女の源氏名は『かりん』。
当時はアイドルになりたいなんて言っていなかったな」と話すのは当時の同僚。
SKE48 に合格する前、松村は新宿の中級店でキャバ嬢として働いていた。
ロリ顔がチャームポイント。月1回のコスプレイベントでは、大好きなメイド服を着ていた。”

 

そして、松村香織らしいエピソードもあった。

” 神対応のかりんちゃん、意外な一面も。「ついたお客さんの人数やドリングの売り上げを、毎日手帳にメモっていました。給料日には、もらった金額と手帳を照らし合わせて、『金額が違います!確認してください』と店頭に指摘してました。しっかり者でした ”

 

そこには、さらに本人のコメントまで掲載されていた。

 

「はい、この頃はお金がなくてキャバクラでバイトしていたんですよ。でも、今考えるとこの顔でキャバクラなんて、ホント、お客さんに申し訳ないですよね」

(2015年6月23日発売の「フラッシュ」(光文社)より引用)

 

そのときのネット記事である。

 

何かがおかしい。
アイドルとして致命的になりかねないスキャンダル。
しかし、キャバクラ勤務が発覚してもほぼ無風状態。記事もファンが増えるなどむしろ好意的であった。

6月23日夜の松村香織のぐぐたす投稿はこの件についてだった。

 

「 松村香織です。例の件があまり話題になっていないですが…(>_<)(笑)
本日発売されたFLASHさんの袋とじにSKEに加入する前キャバクラで働いていたことが掲載されました。
あのときも、今と同じように一生懸命必死にやっていました。
そこで働いていたのは事実です。
はっきり言えるのはそういう過去も含めて私の人生の一部だと思っています。
いろいろ感じる方ももちろんいらっしゃると思いますが私は全く後悔していません。
もちろん秋葉原のメイドさんの時も精一杯やっていました!!!
これからもSKE48松村香織の応援をよろしくお願いします。」

 

これが松村香織の生き方なのかもしれない。

その翌日に出演したAKB48のオールナイトニッポンで松村香織が流した曲は、椎名林檎の「歌舞伎町の女王」だった。

努力の証明

13位のスピーチはさらに続く。

 

「あとは一番うれしいのは、ここのステージにこうやって立たせていただいていることが、一番ほんとにうれしいです。」

 

「 研究生として5年半活動していまして、
私はですね、あの、たかみなさんが言う「努力は必ず報われる」という言葉がとっても心に刺さっていて、
ときにはバカにされたりネタにされてたりしている言葉だったりもするんですけど、でも、私はほんとにこの言葉が大好きで、
活動していくうえで、後輩の研究生がたくさん入ってきて、
歌も下手だしダンスできないし顔不細工だし、何をどうやって後輩に指導していけばいいのかなと思ったときに、
この「努力は必ず報われる」というのを私のこの生き方でちょっとでも、示していくのが後輩に残す私のこのSKE人生だと思っています。
なので、今日こうやって選抜メンバーとして、ありがとうございます。はい。ありがとうございます。
こうやってSKEのメンバーで選抜メンバーに呼ばれたことでちょっとは「努力は必ず報われる」というのを少しは示せたんじゃないかなと思います。」

総選挙の夜

当日の夜に、同室の石田安奈さん(卒業生)との1コメダを更新し、恒例となっていた母親への電話報告を行った。松村香織も母親も二人ともうれしそうに会話していた。

 

総選挙後のぐぐたすには次のような内容が投稿されている。

「13位たくさんの投票を本当にありがとうございます。53667票、信じられないです
松村香織です覚えてください
ファンのみなさん、今までついてきてくれて本当にありがとうございます」
「ただただ信じられません
コメダファンのみなさんからの素敵すぎるプレゼント
わたしは本当に幸せです」

どんなときでも一緒に

総選挙の翌日にコンサート「後夜祭〜あとのまつり〜」が開催された。そのオープニングで浮かぶシルエット。

前日に選抜ランクインした16名が一列に並んで登場したのである。そこの中に松村香織は立っていた。

後日のアメブロにてこのように綴っっている。

 

「 選抜総選挙でまさかの『13位』にランクインしました
投票してくださったみなさん
本当に本当にありがとうございましたm(__)m
感謝しきれないです
『53667票』
1票1票に感謝
これは総選挙が終わった次の日の
後夜祭のオープニング衣装です

総選挙が終わって記者会見が終わって
衣装さんに呼ばれて衣装部屋にいきました!!!
そしたら後夜祭のオープニングの衣装があったんです
大好きなギンガムチェックのオリジナル衣装♪
ひとりひとりデザインが違うんです
ネクタイにはローマ字表記の順位が書いてあります!
この衣装のフィッティングをして選抜メンバーになったんだってこの時少し実感しました!
そして次の日の後夜祭
選抜16人だけでオープニングに出演しました」
「オープニングが始まって舞台に上がってからの景色はものすごくキラキラしていて感動して実感したしとても気持ちよかったです(>_<)
左から2番目がわたしです
わたしなんかがここにいていいんだろうか
そんなこともちょっぴり思いましたが胸を張っていいんですよね」
「正直言うと今年の総選挙は選抜にはきっと入れないだろうなってどこかで思いながら挑んでいました」
「もちろんわたしがそんな気持ちじゃいけないって分かってはいたんですけど本当に怖かったんです」
「松村がAKB選抜入りするなんて誰も信じられるわけありません
投票してくれたファンのみなさんにはこのありがとうの感謝の気持ちを伝えたらいいのかわかりません
他のメンバーに比べたらファンのみなさんの人数は多くはありません
そんななかで5万票を越える票数を獲得出来るだなんて思ってもいなくて
すごくものすごく大変だったと思います」
「去年の総選挙が終わってからの一年間を振り返ると反省ばかりです
もっとやっておけばよかったっておもうことばかり
でもファンのみなさんはついてきてくれました
良いところなんて全然ないわたしのことをずっと見てくれて支えてくれました
辛いときには励ましてくれて
嬉しいときには喜んでくれて
悲しいときには泣いてくれて
ずっと側に居てくれました
6月6日が新たなわたしのスタートする日となりました
見たことない経験したことない選抜という場所はどんなところなんだろう
みなさんから頂いたチャンスを無駄にすることは絶対にいたしません
これからも松村香織と一緒に歩んでください!!!!!
ずっとずっとよろしくお願いします」

 

おまけ

7期生の初々しい総選挙初参加コメダ

 

記事

 


コラム は、有志の方々からの寄稿をもとに掲載しています。

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