2017選抜総選挙「楽しかった。悔いはスピーチだけ。」

ギリギリの立候補

2017年、松村香織はAKB48選抜総選挙に戻ってきた。

しかし、これまでとは何かが違った。

 

出馬宣言もせず最終日ぎりぎりになって立候補届を提出。

松村香織はその日、2017年4月1日のブログ (SKE48モバイル会員のみ閲覧可能)で出馬をようやく伝えている。

 

「今年の総選挙、出馬します。去年は立候補しませんでした。
でもそれは自分なりの考えがちゃんとあったからです。
決して逃げたりしたわけじゃないの。自分ではそう思ってる。」

「立候補するからにはランクインしたいし、目標は選抜です。
この目標も大切だけれど過去最大級に楽しみたい!!」

 

このとき松村香織は本心を語っていたのだろうか。

もちろん嘘をついたり誤魔化してたりしたわけではないだろう。
再び総選挙に帰ってくる理由が何か必要だったのかもしれない。

 

昨年の2016年選抜総選挙に立候補しなかったことについてインタビューで尋ねられている。

【SKE連載10】松村香織 卒業を撤回して目指すは選抜復帰「強烈スピーチかまします」

「卒業しようと思っていたんです。総選挙が終わった後、夏ぐらいに。
すぐ卒業するんだったらファンの方に申し訳ないと思って(総選挙を)辞退しました。」
「一般の人に覚えてもらえるようなスピーチはしたいと思っている。」

過去最低順位の速報

5月31日、速報が発表される。

松村香織は、その模様をチームKⅡのメンバー5名とともに見ていた。
それをペリスコープで配信している。

 

松村香織は91位、4111票。過去最低の順位であった。

メンバーとの配信中は「過去最低で心配するでしょ。やばい。やばいぞ。」と言うものの明るく振舞っていた。

動画では、内山命さん、青木詩織さん、荒井優希さんの喜びの瞬間と入れなかった北野瑠華さんと江籠裕奈さんのコメントが収められている。

 

その日の夜に松村香織自身の思いは1コメダで語っている。

 

二年前のように選抜に入りたい。
しかし、過去最悪のスタートに不安を覚えて涙の配信となってしまった。

その気持ちはアメブロにも綴っている。

 

「なんでそこまでこだわるのか? そう言われます。
総選挙で結果を出せないとこれから先のSKE48の活動内容やいつか卒業した時の進路も大きく変わってくるんです。

総選挙においての選抜と非選抜は非常にとても大きいです。選抜にこだわる理由はここにあります。選抜じゃないと今のわたしには駄目なんです。」

 

この年は、卒業メンバーをはじめ、これまで各方面でかかわった人たちからも多くの応援が届けられた。特に、松本和光市長からは必勝ポスターまでいただいた。

屋内での開催決定

本番を直前に控え、6月15日には、みなちゅりの配信にペリスコープで参加している。

 

この2017年総選挙の会場は沖縄であった。
しかし、時期は梅雨。現地は記録的大雨となっていた。
松村香織は当時の会場の様子をTwitterにあげている。

 

 

この大雨で屋外でのイベントはすべて中止となった。
そのため、総選挙は「無観客」で行われることになったのである。

 

本番前夜。松村香織は1コメダをあげて、総選挙への不安と期待を語っている。

 

「自分が何位で呼ばれようとも、私のいま思っている気持ちをちゃんと、私らしいスピーチできたらいいなと思っています。」

 

ここでもスピーチへのこだわりを強く示していた。

一番のファンからの手紙

例年、選抜総選挙の前に特番が放送されている。
その事前番組で松村香織は母親と取材を受けそれが放送された。

 

「一人でおうちにいさせるのは申し訳なかったなあと今は思いますね」

 

と松村香織はインタビューに答えている。

SKE48劇場に初めて来たという母親と二人が普段の活動の話をしてる姿は微笑ましい。
そして、場所を松村香織の部屋に移す。

一人暮らしの娘のために甘酒やハム、煮物を持ってきたという。
最後に、サプライズとして母から手紙が送られる。

 

– かおちゃんへ
SKEに所属してはやもう8年半くらいの月日がたったのですね。
あっという間のように思います。

あなたは幼少のころから一人っ子のわりには、人見知りもなく、まあとにかく活発な女の子でしたよね。頭も2回くらい切って縫ったことありますよね。覚えてる?お赤飯が大好きでしたよね。いまでも好きでしょ?

親離れも早く、母の方が子離れができず、寂しく思うことがありました。

でもいまはその分たくさんの親孝行してもらっています。

いまの香織があるのは自分の努力ももちろんでしょうが、ファンの方たちの大きな支えがあってのことを忘れずに頑張ってほしいと思います。

いつも楽しみにしています。1番のファンですよ。
母より。-

「無観客」での結果発表

メンバーの名前が呼ばれてもいつものようなファンの歓声は聞こえない。メンバーの歓声だけが響く
異様な雰囲気のまま淡々とイベントは進行していった。

アンダーガールズに入ってそのときが来てしまった。

 

18位 34977票 松村香織。

 

結果的に16位まであと563票と迫ったが、わずかに足りず選抜には届かなかった。

名前を呼ばれたとき、笑顔を見せたものの松村香織の表情には悔しさがにじんでいた。

 

松村香織のスピーチ直前にあの大きなアクシデントが起きた。

それによって、彼女らしいスピーチを思うようにできなかった。
この総選挙ではスピーチに強いこだわりを見せていた。
このアクシデントの前では自分の思いを語ることすら困難であった。

ささやかではあるが、進行が遅れたことで少しだけスピーチがフジテレビに映ったのは幸いだったかもしれない。

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本当の気持ち

総選挙が終わったその日の夜。

須田亜香里さんとのshowroomをした後、最後に伝えたいことがあるとペリスコープで語り出した。

今までどうしても言えなかったと本音を泣きながら伝える。

勇気を出して伝えようとしている松村香織の言葉はぜひ直接聞いてあげてほしい。

その思いはアメブロでも語られている。

 

「現地でみんなが緊張している姿やスピーチしている姿や悔し涙を流しているのをみて自分はなにをしているんだろう。そう感じてしまいました。
新潟からバスで名古屋のお家に帰って何日間か謎の涙が出てた(笑)
立候補するということ とても勇気がいることです。改めて思いました。」

 

前年の総選挙、新潟で「見る側」として参加して私たちにリアルを突きつけた。

そして、私たちよりもずっと近くでそれを見届けた彼女自身も感化されていたのだろう。
このとき、その気持ちをようやく整理できたのかもしれない。

 

6月20日にも1コメダで総選挙を総括している。

 

「(総選挙に)ほんと出てみてよかった、すごい楽しかったなあって思う。
悔いがあるのはスピーチだけ。それ以外はぜんぜん悔いがないです。
みんなと一緒にすごい戦えてうれしかったし、こうやってまたみんなとぐぐたすできたのも楽しかった。」

 

6月22日には、SKE48劇場公演にて「総選挙感謝公演〜まずはありがとう!話はそれからだ〜」が開催された。

 

それからおよそ1年後。
2018年5月29日にかおたんちゃんねるに「AKB48選抜総選挙 2017 SKE48ドキュメント ~わたしたちの総選挙~」がアップされた。

 

期待、葛藤、不安、後悔、さまざまな感情が混在した2017年選抜総選挙。

これまでとはまったく異なるものであったし、結果も思うようではなかった。

しかし、それでも松村香織は楽しかったと言う。
この年の総選挙で何を得たのか。

 

その答えは間もなく出ることになるだろう。

 

私たちは応えなくてはならない。

 

 

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コラム は、有志の方々からの寄稿をもとに掲載しています。

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