「AKBのプロレスの興行、良かったらしいよ」
2017年8月29日に行われた豆腐プロレス の後楽園ホール大会終了後、プロレスファンの私の耳にそんな話が聞こえてきました。
はじめは「どうせアイドルでしょ…」とたかをくくりドラマも見ていなかったのですが、取材に行ったライターさんや自腹で観戦したアジャコング選手がSNSで絶賛しているのを知り、流石に気になりました。
プロレスファンの仲間がスカパーでの中継を録画していたので、見せてもらいました。
技術的な部分でまだまだな方も何人かいましたが、全体的にプロレスの興行として成り立っており、ほとんどの選手がデビュー戦とは思えない出来だったのに驚きました。
なかでも目をひいたのが、アイドルとは思えないペイントを顔に施し、この日一番の歓声を受けていた工事現場同盟。
100キロ超のプロのレスラーを相手に、何度攻撃されても諦めず立ち上がる姿に胸が熱くなり、気付いたら普段プロレスを観ている時と同じ様に、工事現場同盟を応援してました。
最後にクイウチ松村選手がクイウチドライバー(アックスギロチンドライバー)で勝利!
アイドルやっている人が、100キロ超のレスラーを持ち上げてる!Σ(゚Д゚)
この人何者??
試合を観た後、私は試合ぶりが印象に残ったクイウチ松村こと松村香織さんがどんな人なのかを調べました。
今回はプロレスファンから観たクイウチ松村、そして松村香織さんを書いてみたいと思います。
プロレスってただ殴り合って勝ち負けを決める訳ではありません。
豆腐プロレスのドラマで、錦糸町道場のコーチを務めたアリゲート流司が主人公たちに「プロレスとは魂と魂のコミュニケーション」と教えるシーンがありますが、プロレスは相手の技(メッセージ)をすかさずに受け、耐えて自分の技を相手に返します。
肉体だけでなく、感情のぶつかり合いでもあります。
観ている方にも気持ちや想いが伝わる試合をすれば、負けても評価が上がることもあります。
私が思うプロレスの面白さは、力強さや華麗さだけではなく、不利な状況でも諦めずに立ち向かう姿だと思っています。
負け続けても諦めずに戦い続け、這い上がる姿にプロレスファンは自分を重ね応援するのです。
あと、プロレスは苦しい時間が多いので、試合を通して戦っている選手の生き様が垣間見えます。
工事現場同盟の後楽園ホールでの試合は、自分達よりもはるかに大きい100キロ超のプロのレスラー。第二弾として2018年2月23日に行われた愛知県体育館では説明不要のレジェンド、アジャコング選手。
そんな相手でも怯まずに立ち向かう姿に、クイウチ松村の、いや松村さんの心の強さが感じられました。
そして、今までどんな逆境も諦めずに立ち向かっていったのだろうなと想像出来ました。
プロレスを観る上で、もう一つ大切なキーワードが「友情」です。
ジャンプ漫画ではありませんが、絆のあるタッグチームが私はとても好きです。
後楽園ホールでの試合を観た後しばらくして、クイウチ松村のタッグパートナーのユンボ島田こと島田晴香さんが引退する事を知りました。
試合中もクイウチ松村が何回か感極まっている様に見え、アメリカに行くと発言したユンボ島田が試合後のマイクで「(残る)コイツらの事応援してやれよな」と言った直後の表情、戻る時も泣いているのを見てクイウチ松村がこの試合に掛けていたのが伝わりました。
試合後のバックステージでも二人だけでなく、ボイス山田こと山田野絵さん、ブラックベリー向井地こと向井地美音さんが涙ながらにコメントしていたのを見て、工事現場同盟の本気とお互いに対する想いを感じました。
この試合を観ながら、私は涙が止まりませんでした。
不利な状況でも諦めずに立ち向かい、勝利を掴み取った姿はとても美しく、カッコよかったです。
AKBを、48グループというものを知らないプロレスファンの心に、ちゃんと二人の試合は届きました。
プロレスというものを好きになっていただかなくても構いません。
それでも敢えて言わせて下さい。
どうかこの試合を観て、工事現場同盟の頑張りと感情を感じて欲しいと思っています。
間違いなく、この試合はAKBファンの外側にまで伝わった素晴らしい試合です。
プロレスファンから見たクイウチ松村、そしてそこから垣間見えた松村香織さんはとても強く、とても素敵な人でした。
そう感じた私は、松村香織の生き様をもう少しだけ追ってみようかなと思っています。
コラム は、有志の方々からの寄稿をもとに掲載しています。