2013年AKB48 32ndシングル選抜総選挙。
皆さんはご存じだろうか。この年に松村香織がとった戦術を。
2013年の総選挙から立候補制となった。
立候補届を一番に出してその意気込みを見せる戦術は現在では当然のように行われている。
しかし、この戦術を最初にとったのは松村香織だった。そのときの記事を見てほしい。
- 東スポ「「AKB総選挙」 SKE松村が立候補一番乗り 」
- スポニチ 「AKB総選挙立候補受付スタート SKE松村香織が一番乗り 」
- 音楽ナタリー「選抜総選挙立候補受付開始、AKB48からはまゆゆが一番乗り 」
多数の記事に取り上げられ、松村香織の戦術は見事にはまった。
松村香織は、運営、メンバー、ファンさえも予想しなかった方法でアピールしたのだった。
初めて選抜を意識した総選挙
終身名誉研究生として初めての総選挙だった。そして、松村香織はこのときすでに「選抜」を意識していた。
「まずは目の前にある総選挙とかも、選抜の16人の中に入ったりしたらとってもおもしろいことになるかなとも思っていて、今までだったら絶対ありえないよということをやっていきたいなと思いました。やっていきたいです。」(2013年4月13日終身名誉研究生就任の夜の1コメダ #165 より)
「わたしの今年の目標は16位です(`・ω・´)」(2013年5月22日松村香織ブログ より)
この目標のうえで、総選挙ポスターに掲載したキャッチフレーズは「 干されのカリスマ 」。
この言葉に松村香織の自負を感じる。
自分は決して推されてここまで来たわけではない。しかし、推されてなくてもここまで来ることができるんだ。自分はここまで来たんだ、と。干されてもファンは見てくれている、頑張れば必ず道は開けるんだ、それを身をもって示すんだ。
そういう覚悟と自信のあふれる力強いポスターであった。
速報のどよめき
しかし、一般的にはどこまでそれを知っていただろうか。
むしろ、松村香織の人気は一時的なものなのではないのか、今年はランクダウンするじゃないかと疑っていたのではないだろうか。
2013年5月22日速報発表。
松村香織は17位につけたのだ。17位で彼女の名前が呼ばれたとき現場ではどよめきが起きた。
その日のブログで松村香織は速報の感想を述べている。
「17位でした
なんてことだ\(^o^)/
たまげました…
正直楽屋で速報見ていて
震えました」
その一方で気を引き締める。
「嬉しいし感謝の気持ちで
一杯だしもちろん喜んでるんですが
浮かれていられないなっていうのが
本音です(`・ω・´)」
また、謙遜しながらもSKE48研究生への思いを語る。
「わたしなんかで
良いのか分かりませんが
終身名誉研究生として
少しでもSKE研究生へ貢献したいです」
「去年と想いは
変わりません(`・ω・´)
わたしは研究生の為にも
がんばります」
そして、最後に強い決意を示した。
「干されのカリスマ
松村香織
絶対に伝説つくります」
悔しいランクアップ
2013年6月8日選抜総選挙当日。SKE48研究生は最後列に並んでいた。
「第5回の総選挙、開票結果の発表でございます。」
静まり返った会場に徳光和夫氏の声が響く。
「第64位、11602票、SKE48、チームS、中西優香」
1万票超えで会場がどよめいた。この年から劇場盤CDに投票券がついたことで票数が大きく増えたのだ。徳光氏は続ける。
「第63位、11,620票、SKE48、チームE、金子栞」
初期から「1コメダ」を見ているファンにはうれしいランクインもあった。ステージに向かう金子栞さん(卒業生)に松村香織は「うんちゃん!うんちゃん!うんちゃん!うんちゃん!おめでと~!もうおめでと~!!」とマイクが拾うぐらい大声で叫んでいた。
順位が次々と読み上げられ、イベントは進行していく。
そして、アンダーガールズに入り急激に緊張感が高まる。
両隣で松村香織に寄り添う矢野杏月さん(卒業生)と日高優月さんが順位とチーム名が呼ばれるたびに一喜一憂する一方、本人は硬い表情ながら静かに待っていた。
27位…
26位…
25位…
「24位、27,566票、SKE48、チーム研究生、松村香織」
呼ばれてしまった。そう感じずにはいられなかった。松村香織も笑顔ではあったがどこか残念さも見られた。
以下、松村香織のスピーチ全文である。
「SKE48終身名誉研究生の松村香織です。ありがとうございます。
私は今回、昇格を選ばず、終身名誉研究生の道を選んで、この総選挙に臨んだわけですけども、普段ですね、アンチの人と戦ったりだとか、炎上したりしてちょっと困らせたりとかもするんですけど、この結果になったということは、皆さんがちょっとそれも認めてくれているのかなと思っています。
選抜メンバーだったり、顔がかわいいメンバーとかに注目しがちなんですけど、48グループの研究生はですね、ほんとに、変な話ですが、正規メンバー以上に頑張っている子たちがたっくさんいます。
なので、皆さんどうか劇場で頑張っている研究生のことをちょっとでもいいのでみてほしいと思います。そして、個人としては、48グループのこの予定調和を壊していきたいと思います。
それと私、動画を撮ってですね、アップしてるんですよ。この景色をぜひみなさんに見せたいなと思います。」
「BBQ松村香織の今夜も」「1コメダー」
「本当にありがとうございました。」
( 一部、News Lounge を参照 )
ところで皆さんは覚えているだろうか。このとき、松村香織はある意味「持っていた」。
地上波生放送でCMに入ってしまいこのスピーチは放送されなかったのだ。
2013年の総選挙はSKE48からは最終的に18名ランクインして幕を閉じた。
その夜、松村香織は今の気持ちをぐぐたすに投稿 している。
「去年は34位で歓喜
まさか松村が…状態
今年は24位で
嬉しいけれど
本音を言うと悔しい。
まだ
呼ばれたくなかった
こんなに
素晴らしい順位に
悔しいって感じる自分に
なったことにビックリ
ワガママですか?
貪欲ですか?
やっぱりAKBの
選抜に入って
みたかったなぁ(笑)」
初1コメダ総選挙編
松村香織はこの年に初めてステージ上にカメラを持ち込んだ。
すぐに動画編集をはじめて、翌日に総選挙の映像をぐぐたすにあげた。
2013年6月10日「BBQ松村香織の今夜も1コメダ #191総選挙編」
私たちはそこに広がる映像に驚愕した。
初めて見るステージ側からの景色。
それは限られたメンバーしか見ることのできなかった光景である。
それを松村香織は共有してくれた。
さらには、舞台裏でのメンバーのランクイン直後の喜びの様子も撮影されていた。
柴田阿弥さん(卒業生)の初ランクイン17位の涙、須田亜香里の初選抜入りの笑顔、斉藤真木子と金子栞さんの初ランクインの喜び、真っ黒なぐぐたすちゃんとちびあいりんなど、15分という短いものであるにもかかわらず、見どころの多い貴重な動画であった。
感謝と挑戦
少し間をおいて、松村香織は6月16日にブログを更新 した。
「まず最初に1票でも松村に
投票して下さったあなた
本当にありがとうございました。」
「票数にただただ
ビックリしています」
「去年の総選挙に挑む気持ちと
今年は全く逆な感じで
呼ばれたいってよりも
まだ呼ばれたくないって
ずっとずっと思ってました…」
「だから24位で呼ばれた時に
嬉しい反面
きてしまったか…
と感じている自分が居ました」
「去年なんかそんなこと
全然思ってもいなくて半分
諦めかけていた時に
まさか34位で呼ばれて大感激」
「想像以上の順位をいただくことが出来て
この票数と順位は
来年への期待だと私は受けとりました」
「最初は冗談で言っていた
目指せ選抜入り
だけどだんだん気持ちは強くなって
絶対に入りたいって
思うようになりました」
選抜への強い気持ちの一方で、総選挙の苦しみは変わらないようだ。
「でも私だけの力では
総選挙に入ることは出来ません
この大きな目標を掲げること
みなさんの負担を
また大きくしてしまうこと
辛かったです」
「目標を口に出して本気モードを出したら
みなさんの生活が
大変になるんじゃないかって
遠回しに投票してくださいって
言っていることと変わらないなって
罪悪感にかられました」
「これはね
去年もそうだし今年もそうだし
きっと来年もそうだと思う」
「仕方がないことかもしれないけれど
1票の想いや重さを軽く感じてはいません」
「投票して当然なんて
思ってもいません」
そのうえでしっかりとファンに感謝を綴っている。
「速報で17位と発表された時に
凄く凄く嬉しかったです
私の気持ちと
応援してくださっている方の
気持ちって同じなんだなって
*:*・°ヽ(´∀`)ノ°・*:.」
「結果的には
24位で速報よりは
下がってしまいましたが
そんなの関係ないです
去年は34位
今年は24位
≪10≫も上がったんですよ」
「具体的な数字が出る総選挙
やっぱり参加して
よかったって思いました」
「感謝の気持ちで一杯です」
研究生への思いを述べた後に、来年の目標を決意する。
「34位→24位ってきたら
目標は14位です(`・ω・´)
もうこれは決定事項です!」
最後に次のように述べてブログを終えている。
「本当に松村香織に
投票して下さったみなさん
ありがとうございました
いろんなところで
それぞれ活動してくださり
感謝の気持ちで一杯です
絶対にその1票を無駄にはしません」
「まだまだ
松村香織のことを
宜しくお願いします☆ミ」
2013年の選抜総選挙。
松村香織の実力が本物であること、松村香織の進む道が間違っていないことが証明された総選挙だったのではないだろうか。
コラム は、有志の方々からの寄稿をもとに掲載しています。